本日は、臨床心理学関連の書籍を紹介したいと思います。
タイトルは「精神分析治療で本当に大切なこと ポストフロイト派の臨床実践から」
です。(下の画像からAmazon内のコメントなどもご確認いただけます)
精神分析と聞くと、「転移とか逆転移とか分からない」「いや、自分のオリエンテーションは精神分析ではないから」など敬遠しがちな方もいるのではないでしょうか。
しかし、この書籍の著者青木滋昌先生は、ポスト・フロイト派の実践をしている方で、非常に柔軟な臨床実践をしておられます。私も先輩から勧められてこの書籍を拝見しましたが、精神分析特有の難しい言葉で難しく説明している分かりにくい本ではありません。
「精神分析治療で本当に大切なこと」と題しているだけのことはあり、精神分析治療の核となる部分について、実際の事例でのやりとりを例に説明が進んでいきます(私はこのやりとりを読めるだけでも一読に値すると思っています)。
面接の概略や面接場面は、青木先生の気づきや内面の変化を交えながら非常に丁寧に、そして驚くべきことに、非常に平易な言葉で、わかりやすく記載されています。大学院受験レベルの知識があれば十分です。
そして、最後まで読み進めていくと、精神分析のスキルを教えるような即席本ではなく、心理臨床に携わる専門職の基本姿勢を伝えている本だと分かります。ポストフロイト派としての青木先生ではなく、1人の臨床家であり、1人の人間としての青木先生が、クライエントの前でどうあるのかが伝わってきます。
私は、この本をことあるごとに、何度読み返したかわかりません。しかし、読むたびに新しい気づきを与えてくれるのがこの本です。
私の家の近所の図書館には、置いていなかったのですが、大学の図書館にはおいてありました。専門書なので一般図書館には置いていないのかもしれません。
ぜひ皆さんにも一度手に取ってみてください。