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臨床心理士、公認心理師を目指す方のために情報発信をしています。

【公認心理師試験対策】ホーソン研究とは

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 先日の記事では、産業組織分野に心理学的な視点を持ち込んだ科学的管理法について紹介しました。

psychobank.hatenablog.com

 記事でも紹介しましたが、当時画期的だとされていた科学的管理法は、後に批判を受けることとなってしまいます。
 科学的管理法は、なぜ批判されることとなったのか。ホーソン研究はどのようにかかわっているのか、理屈を頭に入れて理解してしましょう。

 

この記事から分かること

 

ホーソン研究の概要

 ホーソン研究とは、1924年から1932年、ジョージ・エルトン・メイヨー(George Elton Mayo)によって実施された一連のワークモチベーション研究を指す。研究は、休憩時間の長短と生産能率の研究、作業や待遇に関する労働者の意識調査、グループ分けによる生産能率の研究という3段階に分けて実施された。
 研究により、労働生産性に影響を与える決定因は、作業経験や知能、作業環境ではなく、人間関係であるとされた。この結果は、人間が人間関係に動機づけられるとする社会的人間観を反映したものであり、産業組織心理学における人間関係論の基礎を築いたとされる。
 また、ホーソン研究では、実験参加者が実験参加者として選ばれたことを自覚し、その自覚が実験結果を歪めたとされる。これは、ホーソン効果として観察者効果の一種として知られ、後の心理学研究法に影響を与えることとなった。

 

ホーソン研究の時代背景

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 第二次産業革命の頃、科学的管理法を提唱したテイラーは、工場内での作業時間を計測し、標準的な作業量を算出、インセンティブ制度を導入するなど、労働生産性を飛躍的に向上させる取り組みを行いました。科学的管理法は、産業界に心理学的観点を取り入れたという点で、画期的だったと言えます。
 科学的管理法のように、個人に対するインセンティブを通して、労働者のモチベーションを維持・向上できるとする考え方を、合理的人間観(または、経済的人間観)と言います。
 合理的人間観を基にする考えは、資本主義のニーズと合致していましたが、人間に寄り添った考えとは言えません。これにより、科学的管理法は、労働者を機械のように捉えているという批判を受けてしまいます。
 ホーソン研究の背景では、労働の中身よりも、労働者の心理的側面に注目が集まっていたといえるでしょう。
 試験では、メイヨーといえばホーソン研究で覚えます。しかし、メイヨーもホーソン研究よりも前に、離職率の高い職場に休憩時間を導入して、労働者のメンタルヘルスの悪化を防ぎ、離職率を減少させるなど、労働者のメンタルヘルスを重視した環境構築の研究をしていました。

 

どの研究がホーソン研究か?

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 ジョージ・エルトン・メイヨー(George Elton Mayo)は、テイラーの科学的管理法を発展させる目的ホーソン研究をスタートしました。
 ところが、ホーソン研究を通して、メイヨーは、科学的管理法に対して批判的な立場をとるようになります。
 科学的管理法を発展させようとしてスタートしたメイヨーの考えを逆転させた理由は何だったのか、ホーソン研究の詳細を見ていきましょう。f:id:PSYCHOBANK:20220314221313p:plain

 (ちなみに、ホーソン研究を記事にまとめるにあたって、いくつかの書籍をあたりましたが、1924年にシカゴにあるウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場で始まった実験を最初とする書籍と、1924年の実験を受けて、1927年以降に始まる3つの実験をホーソン研究としている書籍とに分かれるようです。
 私は、後に続く実験のデザインや予算のかけ方から考えて、メイヨーは、最初の実験よりも、2番目~4番目の実験に本腰を入れていたのだろうと想像しています。
 つまり、2番目~4番目の研究がホーソン研究の神髄といえるのではないかなあと捉えています。)

 

ホーソン研究

 最初の実験

 最初の実験は、照明が作業に及ぼす影響を調査する目的で実施されました。
 いつも通りの部屋で作業する統制群と徐々に部屋を明るくする実験群に分けて実施されました。

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 メイヨーは、徐々に部屋を明るくした方が生産量が良いだろうと予測していました。そして、予測通り、部屋の明るさを徐々に明るくすると、生産量は向上しました。
 一方、いつも通りの部屋で作業した統制群は、何も変わらないと考えていました。ところが、予想に反して、統制群の成績も向上したのです。

 そこで、メイヨーは、徐々に明るくしていた実験群の照明を徐々に暗くしました。ところが、徐々に暗くしているにもかかわらず、生産量は向上し続けたのです。
 つまり、部屋を明るくしても、同じ明るさでも、暗くしても生産量が向上したことになります。言い換えれば、「作業環境以外の要因が労働生産性に影響を及ぼしていた」ことを示唆する結果でした。

 

 【実験1】

 最初の実験結果を受けて、メイヨーは、次の実験に取り掛かります。実験は、工場内で電話継電器という器機を組み立てる工程の女性工員5名を対象とした実験です。
 作業の大半は単純作業の反復でしたが、メイヨーは、その作業の合間に取る休憩時間を細かく調整して生産能率の変化を調べました。

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 その結果、休憩時間を長くする(=作業時間を短くする)と作業効率がUPしたのです。作業効率が上がった後で、休憩時間を減らし(=作業時間を通常通りの時間に戻す)たところ、なんと、作業時間が長くなっても作業効率は上がった状態をキープしたのです。
 これにより、休憩時間の長短ではなく、従業員の感情や態度、モラール(士気)が影響しているのではないかと考えられました。

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 【実験2】

 そこで、メイヨーは、実験2と並行して、1928年~1930年の間に、全従業員を対象とする面接調査を行いました。
 面接の結果、従業員の感情や態度には、職場の人間関係が大きな影響を与えていると分かりました。メイヨーは、職場の人間関係を抜きにして労働生産性を理解することはできないと考えました。

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 【実験3】


 実験2の結果を受けて、メイヨーはグループでの生産性に人間関係が及ぼす影響を調査します。
 メイヨーは、配線工9人、溶接工3人、検査員2人の計14人からなるグループを作り、グループの成果が給与に影響する集団出来高払制度を採用します。
 実験の結果、個人の知能や技術的力量にかかわらず、グループの人間関係が労働生産性に影響を及ぼすことが分かりました。
 加えて、グループでは非公式に新しいグループ(インフォーマルグループ)が作られます。そして、その非公式グループの中で共有されるルールは、公式グループのルールよりも強い影響力を与えることが分かりました。
 新しく着任した上司の指示を無視して、独自のやり方を貫くベテラン従業員などを想像してもらうと良いかもしれません。

 

ホーソン研究から分かること

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 1. 仕事は、従業員同士の相互関係によって成り立っており、テイラーが科学的管理法で示したような個人へのインセンティブのみで労働生産性を向上させるには限界がある。
 2. 労働生産性は、作業環境よりも職場の人間関係を通して向上させることができるものである。後にマズローが提唱する「社会的欲求」や「承認欲求」が満たされることで労働者のモラールは向上する。
 3. 職場内に形成される集団規範は、公式な集団(フォーマル集団)内で共有される規範よりも、非公式な集団(インフォーマル集団)の中で共有される規範の方が労働者の作業習慣や態度に強い影響を与える。

 

ホーソン研究を通して副次的に分かったこと(意外と重要)

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 1. 実験参加者が「選ばれた」「見られている」と意識することで、行動や態度が変容してしまい、実験結果をゆがめてしまう恐れがあるということ(※ホーソン効果
 2. 実験2を通して行ったように、労働者の不満や意見を自由に表現する機会を与えることは、労働者のカタルシスを促す。

【公認心理師試験対策】科学的管理法

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 ワークモチベーションに関連する問題は、公認心理師試験で毎年のように出題されています。中でも、科学的管理法ホーソン研究は、産業分野に心理学を応用した研究としてのちの時代にも大きなインパクトを残した研究です。

 例えば、今では当たり前となっている上司と部下のような役割分担は、機能別職長制度として、科学的管理法で取り入れられました。

 近年、産業組織心理学分野のトレンドとなっている健康経営職務特性モデルといった考え方に繋がっているといえます。

 今後も公認心理師試験の問題や選択肢に、キーワードが盛り込まれると考えて良いでしょう。

 産業分野で働いていない方も、概要を理解しておくことは、試験以外にも役に立つと思います。今回は、科学的管理法について取り上げていきます。理屈から理解して覚えていきましょう。

 

 

 

産業組織心理学の成り立ち

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 産業分野に心理学が持ち込まれた当時は、第二次産業革命によって、重工業が発展し、エネルギー源は石炭から石油、電気へ変わり、より大量に生産、消費することが可能となった時代です。

 しかし、労働者の働く環境に対する企業側の関心は低く、労働生産性という面では非常に非効率な時代でもありました。そのため、19世紀末頃、米国では、労働効率を上げるために能率増進運動が展開されるほどでした。

 また、同時に、労働者の権利に関する法律の制定が進み、使用者への規制が徐々に強まりつつあった時代でもあります。そんな時代にあって、生産性を高め、消費を促し、利益を追求することは企業が生き残るために必要なことだったのでしょう。

 結果として、1908年のスコット(Scott.W.D)による「広告心理学」、1912年のミュンスターベルグ(Münsterberg,H.)による「心理学と産業効率」の発表に至り、産業分野に、心理学が取り込まれることになります。

 スコットは、産業組織分野の中でも広告心理学に焦点を当て、ミュンスターベルグ人材の選び方、仕事の方法、仕事の成果という点に着目しました。ミュンスターベルグはスコットよりも幅広い観点から産業分野全体をとらえようとしたと言えます。そのため、ミュンスターベルグは産業組織心理学の父スコットは広告心理学の父と呼ばれています。

 

科学的管理法の時代背景

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 さて、上記のように、「効率が求められる一方、労働者の権利も守らなければならない」となると、それまでの使用者にこき使われる労働者という構造とは異なる、新しい労使関係のあり方が必要となります。

 そこで、労働者と使用者はお互いに協力して利益を追求することができるという構造でとらえようとしたのがテイラー(Tylor)です。ちなみに、「労働者も企業の利害関係者である」という考え方は、現代の企業コンプライアンスでは基本となっています。

 1911年、テイラ-は、「科学的管理法の原理」を出版します。先述した通り、使用者は労働者を酷使して沢山生産したいと思う一方で、労働者の権利について法律の整備が進んでいく、そんな時代でした。

 結果として、労働者は、ストライキ組織的怠業(労働者があえて生産性を落として働くこと)などを通して反発するようになり、労使間の対立が顕在化していました。

 当時、技師として働いていたテイラーは、特にこの組織的怠業を改善し、労働生産性を上げる一方、利益を正当な額の報酬として労働者に還元することで、労使間対立を改善しようと考えました。その結果、考案されたのが、科学的管理法です。

 

科学的管理法とは

 科学的管理法とは、労働者が最も作業しやすい方法を見出し、その方法でどれくらいの時間働く必要があるか基準を明確にすることで、労働者個人個人の成果を適切に評価しようという管理方法です。

 科学的管理法では、主に、時間研究課業管理動作管理の3つの方法で労働者を管理していきます。

<時間研究>

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 テイラーはまず、熟練労働者の作業時間を計測しました。すると、熟練労働者の動きにも不必要な動きやミスがあり、単に時間測定をするだけは不十分なことが分かりました。

 そこで、時間研究では、一つの作業を細かく分解し、それぞれの作業を平均的な労働者が行った場合の時間を測定します。そして、時間という基準をもとに、最もやりやすい(無駄な時間を排除した)作業の方法を見出す過程が時間研究です。

 

<課業管理>

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 課業管理では、時間研究を基に作業を標準化し、①標準的な諸条件の元で、②一日の標準的な作業量を設定します。そして、③標準的な作業量を超えた場合にはインセンティブ④下回った場合には、低い割合の賃金を与えます。

 

<動作研究>

 動作研究は、テイラーよりもギルブレス夫妻(Lillian Gilbreth & Frank Gilbreth)がより詳細に研究を行いました。

 ギルブレス夫妻は、作業の基本的な動作をサーブリッグという18種類に分類します。ちなみに、このサーブリッグというのは夫妻のファミリーネームGilbrethを反対から読んだものです。心理学科では、教授がドヤ顔で説明する定番の豆知識です。

 そして、このサーブリッグはさらに、①上半身を用いる動作、②感覚器官(目や皮膚感覚など)を用いる動作、③無駄や不必要な動作、不必要だが避けられない動作に分類します。

 無駄な動作を区別し、取り除いていくことで、労働者の負担を軽減して生産性を向上することが目的となっています。

 

科学的管理法の結果

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 時間研究、課業管理、動作研究この三つの工程を通して労働を効率化したテイラーの科学的管理法は、結果として、労働生産性、従業員のワークモチベーションを向上させました。

 科学的管理法を導入しやすい自動車工場などの環境では、積極的に科学的管理法が取り入れられ、飛躍的に生産性を向上させました。

 テイラーはもともと、労働者と使用者が共に利益を受けられる働き方を目指し、科学的管理法にたどり着いたのだろうと思います。

 それゆえに、テイラーの時間研究や課業管理、ギルブレス夫妻の動作研究も、仕事に合わせて労働者を配置する適材適所的考え方ではなく、どんな労働者にもできるような仕事のあり方を目指していたと言えます。

 20世紀初頭の日本は、いわゆる列強を目指していたこともあり、さほど世界の流れから遅れることなく科学的管理法を取り入れました。しかし、科学的管理法は、日本国内でも労働者を機械の一部のようにみなす管理の仕方であるという批判を受けてしまいます。
 その後、科学的管理法は、時代や文化に合わせて修正を繰り返しますが、世界的な流れで見れば、現在まで続く、産業組織心理学の基礎となったことは間違いありません。

 一方の日本企業はというと、科学的管理法を十分に取り入れることができているとは言えないでしょう。日本企業が本腰を入れれば、無駄を省き、労働生産性を向上させ、労働者の負担軽減、企業のコスト削減、労働者への利益の還元を実現することは可能なはずです。

 今一度、科学的管理法のメリットデメリットを整理し、日本文化や企業風土に合わせた労働環境の整備が必要なのかもしれません。

書籍紹介

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 本日は、臨床心理学関連の書籍を紹介したいと思います。

 タイトルは精神分析治療で本当に大切なこと ポストフロイト派の臨床実践から」

です。(下の画像からAmazon内のコメントなどもご確認いただけます)

 

           

 

 精神分析と聞くと、「転移とか逆転移とか分からない」「いや、自分のオリエンテーション精神分析ではないから」など敬遠しがちな方もいるのではないでしょうか。

 しかし、この書籍の著者青木滋昌先生は、ポスト・フロイトの実践をしている方で、非常に柔軟な臨床実践をしておられます。私も先輩から勧められてこの書籍を拝見しましたが、精神分析特有の難しい言葉で難しく説明している分かりにくい本ではありません

 「精神分析治療で本当に大切なこと」と題しているだけのことはあり、精神分析治療の核となる部分について、実際の事例でのやりとりを例に説明が進んでいきます(私はこのやりとりを読めるだけでも一読に値すると思っています)

 面接の概略や面接場面は、青木先生の気づきや内面の変化を交えながら非常に丁寧に、そして驚くべきことに、非常に平易な言葉で、わかりやすく記載されています。大学院受験レベルの知識があれば十分です。

 

 そして、最後まで読み進めていくと、精神分析のスキルを教えるような即席本ではなく、心理臨床に携わる専門職の基本姿勢を伝えている本だと分かります。ポストフロイト派としての青木先生ではなく、1人の臨床家であり、1人の人間としての青木先生が、クライエントの前でどうあるのかが伝わってきます。

 私は、この本をことあるごとに、何度読み返したかわかりません。しかし、読むたびに新しい気づきを与えてくれるのがこの本です。

 私の家の近所の図書館には、置いていなかったのですが、大学の図書館にはおいてありました。専門書なので一般図書館には置いていないのかもしれません。

 ぜひ皆さんにも一度手に取ってみてください。

公認心理師法のポイントを理屈で覚える(後編)

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みなさまこんにちは

 

前回までは、公認心理師法の第1条~3条までを解説しました。前回の記事はこちら ↓↓ をご覧ください。

 

 

psychobank.hatenablog.com

 

今日は、後半のミソをお伝えしていきたいと思います。

 

<今回の流れ>

 では、第一条~第三条の流れを受け取り、最重要ポイントである四十条~四十二条へとつながる中継地となっている三十二条から見ていきましょう。

 個人的には、三十二条が公認心理師法のバランスをつかさどっている感じがして私は好きです。

第三十二条 資格登録取り消し

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条文

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

 

【第三十二条のポイント】
 三十二条の第一項では、「登録時は良かったけど、後から欠格条項の要件に該当することとなった人の扱い」について書かれています。欠格条項の対象となった場合、登録取り消しです。そして嘘ついて登録した人登録取り消しと定めています。
 
 さて、ここで質問です。
 Q、欠格条項とは何だったでしょうか?
 

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<正解>
 意思疎通等が困難禁錮以上の刑に処されて2年以内、保険医療福祉教育等の分野で罰金刑以上の刑に処されてから2年以内のパターンでしたね。
 意思疎通は問題ないのに登録がダメなパターンは、とにかく2年らしいと覚えてくださいとお伝えしました。携帯の契約更新くらいなので体感は結構長いですね。

三十二条が重要な理由f:id:PSYCHOBANK:20211125145527p:plain
 実は、この三十二条には、第二項があります。これが重要です。第二項には、しれっとこんなことが書いてあります。

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

 極めてあっさり、しかし、それでいてしっかりと、公認心理師は、第三条以外に違反した場合にも登録を取り消されると記されているのです。

 さあ、それでは、公認心理師法後半の山場である公認心理師の義務についてみていきましょう。

 恋愛ドラマでいうと、「最初は犬猿の仲だった二人が付き合い始めた頃」が第三条まで、「仲良くやっていると思った矢先、恋人が別の相手と抱き合っているシーンを主人公が見てしまう頃」が三十二条くらいです。 第四十条からは、「でも本当は誤解だったと分かるか分からないかくらいの頃」です。

 

第四十条 信用失墜行為の禁止

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条文
公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
 
【第四十条のポイント】
 第四十条は非常にシンプルです。公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。という点のみです。信用失墜行為をしたとみなされた場合、先ほどの第三十二条二項に定められている通り、「登録取り消し」となる恐れがあります。
 問題は、この信用を傷つける行為が何を指すのかです。
 第四十条について、Twitterやブログで色々な方の意見を確認すると「四十条の信用失墜行為が何を指しているか明確ではない以上、合格しても登録はやめた方が良い」と言っている方がいました。
 確かに信用失墜行為とは、あいまいな表現ですが、この資格は心理職の資格です。心理職は、一般的な感覚を理解し、一般常識という物差しと要支援者の福祉に貢献する感覚を持ち、常に最善の選択を求められる仕事です。
 法律の解釈ではなく、要支援者を見立て、要支援者、要支援者の関係者の福祉に貢献できるように十分に周囲と連携・相談しながら配慮ある支援をしているのであれば何も案ずることは無いのではないでしょうか。


第四十一条 秘密保持義務

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条文
公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。
【第四十一条のポイント】
 第四十一条は、心理職の根幹ともいえるものです。要支援者は、秘密を守ってもらえるという前提があるからこそ専門職を信用し、悩みを打ち明けるのです。仮に公認心理師の秘密漏洩が繰り返され公認心理師に相談しても秘密を守ってもらえるか分からない」となれば、誰も公認心理師に相談できなくなり、資格が意味をなさなくなってしまいます。
 そのため、四十一条違反は、特に厳しく、一年以下の懲役、または三十万円以下の罰金刑に処されます。懲役および(心理職の)罰金刑ですから、当然、四十条、三十二条にも当てはまることになると考えられます。
 
【秘密保持義務の例外】
 秘密保持義務があるから、いつでも秘密を他者に開示してはいけないというわけではありません。秘密保持義務の例外について、簡潔に伝えると、次のような場合が考えられます。
 自傷他害など、クライエントやクライエントの周囲に対して差し迫った危機があるとき
 ・虐待が疑われる場合
 ・法律で定められている場合
 ・クライエントの精神的な問題を理由に提起した裁判で必要とされる場合
 ・クライエントのケアに関わる専門家同士で話し合う場合
 ・クライエントの明確な意思表示
(参考)
 金沢吉展(2006)臨床心理学の倫理を学ぶ 東京大学出版会
 子安増生・丹野義彦(2018)公認心理師エッセンシャルズ 有斐閣
 
 しかし、これらはケースバイケースであり、自傷他害の恐れがあるから即通報して良いというものでもありません
 例えば、電話相談など電話を切られてしまえばクライエントとのコンタクトの取りようがない場合でも、クライエントと電話が繋がっている間は警察に通報することを伝える配慮が必要になると考えられます。
 また、クライエントがカウンセリングの中で初めて開示したような情報は、他の専門職に伝えて良いか許可を取って伝えることが秘密保持義務としても、治療関係のためにも必要でしょう。
 秘密保持義務の例外については、この記事では伝えきれませんが、実務的な運用としては、業務上秘密保持義務の例外となりうる状況について組織単位で十分な検討を重ね、しっかりとルール化する必要があると言えます。
 
 興味がある方は、次の文献などを参考にしてみてください。
<参考文献>
OD>臨床心理学の倫理を学ぶ (東大出版会)※OD(オンデマンド)版以外は高いので、必ずOD版を買うようにしてください。

第四十二条 連携等

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条文
公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。
2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない
 
【第四十二条のポイント】
 第四十二条第一項では、「要支援者のために他の職種ともきちんと連携しなさい」と言っています。しかし、より重要なのは第二項です。第二項では、「要支援者が精神科治療を受けている場合、その主治医の指示を受けて支援を行いなさい」となっています。

【罰則】
 第四十二条の第二項に違反した場合は、三十二条第二項に定められているように、登録取り消しとなります。
 

第四十三条 資質向上の責務

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条文

公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。 

【第四十三条のポイント】

 第四十三条は、「努めなければならない」と努力義務となっています。そのため、罰則は決められていません。 とはいえ、公認心理師法を守り、第二条にある4つの業務を実践すれば、どうしても第四十三条は守ることになると思います。

公認心理師法のポイントを理屈で覚える(前編)

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前回は、・公認心理師法(◆平成27年09月16日法律第68号)

の大まかな流れをご案内しました。改めて読み返してみましたが、ちょっとノリが寒い感じで、恥ずかしい内容でしたね。

 

psychobank.hatenablog.com

 

今回は、公認心理師試験に出題される部分を一条ずつ丁寧に解説していきたいと思います。一度にすべてを解説する自信が無いので、まずは第一条~第三条、公認心理師法の前半のポイントを解説していきます。

 法律であっても、理屈を覚えることが大切です。では、早速見ていきましょう。

 

 

第一条:目的

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条文

第一条 この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。

 

 

【第一条のポイント】

 第一条は、何のために公認心理師を作るのかという目的です。

 テスト対策的に言うと「業務の適正を図る」「国民の心の健康の保持増進に寄与する」この二つを覚えておけば大丈夫です。 

 ちなみに、「国民の心の健康の保持増進」は2006年に発表された「労働者の心の健康の保持増進のための指針」など、厚生労働省がらみで頻出するフレーズです。

 例えば、「心の健康の保持を目的としている」と選択肢に入っていたら、厚生労働省が保持だけを求めるはずは無いので、「おや?」と疑う目線を持てるわけです。  

 「心の健康の保持増進」これはフレーズごと覚えてしまいましょう。

 

(余談)

 心理の資格取得後に産業領域の仕事を目指している方は、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種試験(https://www.mental-health.ne.jp/)を受験する方もいるかと思います。「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、公認心理師試験でも出題されますが、メンタルヘルスマネジメント検定試験では必出ですので、しっかりと目を通しておきましょう。

 

【第一条の考察】

 心理職はこれまで、阪神淡路大震災の折、「心の専門家」を名乗って現場でサポートを行おうとしましたが、一部では現場を混乱させる結果となったと指摘された苦い経験があります。

 また、現在でも、「●●カウンセリング心理士」などのいかがわしい名称で何を行っているのか分からないカウンセラーが跋扈している現状もあります。

 「心理支援を受けたい人に、きちんとした心理支援を届ける」

 公認心理師が社会からこうした役割を求められていると思えば、目的にある「業務の適正」この部分には、非常に重い意味が込められていると考えるべきでしょう。

 

第二条:定義

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条文

 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者心理状態を観察し、その結果を分析すること。

二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対しその相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

 

 

【第二条のポイント】

 第二条は難しい言葉を使っていますが、要するに「アセスメント、カウンセリング、地域援助、情報提供公認心理師の仕事ですよ」ということですね。細かい表現を問題にしてくる可能性もありますから、きちんと暗唱できるようにしておきましょう。

 ちなみに、第二条は、臨床心理士の皆さんにはおなじみ、臨床心理士の4つの専門業務(①:臨床心理査定、②:臨床心理面接、③:臨床心理的地域援助、④:①~③に関する調査・研究)を参考にしたのでしょう。①~③は公認心理師法第二条と関連しますが、④は公認心理師法における「教育及び情報の提供」とやや異なるようです。

 なぜでしょうか。以下、私の見解を感想としてお伝えします。

 

【第二条の考察】

 私は、第二条の4つ目に記載されている「教育及び情報の提供」は、臨床心理士公認心理師の差別化が図られるポイントになるだろうと考えています。

 というのも、臨床心理士は、「予約を取ってカウンセリングにやってきた人」を対象としてきた背景があります。臨床心理士を養成する大学院課程でも自分から積極的に動くことを想定した教育・実践を積む機会が少ないのです。多くの場合、自分から積極的に動くことについて学ぶために、自分から積極的に動いて情報収集しなければならないというパラドックスに陥ります。

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 そのため、スクールカウンセラー(SC)として学校現場に出ても、「SCとは挨拶程度の会話しかしたことがない」とか「一日中部屋で何をしているか分からない」などと必要性を疑問視されることも少なくありませんでした。

 こうした臨床心理士の姿勢は、エイティングモード(待ちの姿勢)と批判されました。そこで、臨床心理士は「シーキングモード(自ら積極的に助けを必要とする人の元へ出向く姿勢)を目指そう」と考え、その結果、生まれたのが、先ほど臨床心理士の専門業務で紹介した③「臨床心理的地域援助」だったのです。

 その結果、多くの臨床心理士が「要支援者を取り巻く環境まで含めて支援しよう」「他の職種ともっと積極的に連携しよう」と取り組んできました。近年では、一定の成果を挙げてくれた諸先輩方のおかげで、臨床心理士に対する見方が変わりつつあると感じています。

 しかし、一方で、未だに「何をしているのか分からない」「専門用語ばかりで肝心なことが伝わらない」などと批判を受ける臨床心理士が多くいることもまた事実です。臨床心理士が、どれだけ調査・研究をしていても、心理職以外の専門職が、関係者が、要支援者とどのように関われば良いのか伝わらなければ意味がないのです。

 こうした風潮は、臨床心理士全体に色濃く残っています。実際、シーキングモードの重要性を訴えている「日本コミュニティ心理学会」は、2021年11月現在、臨床心理士会から更新ポイントの対象となる学会として認定されていません。

 私は、上記のような臨床心理士の変わらない風潮、姿勢に対する強烈な批判として、「調査・研究」が、「教育及び情報の提供」と言い換えられたのだろうと考えています。いや、私を含め、臨床心理士などの心理支援職が、きちんと「要支援者に届く心理支援を行っていくことが求められている」と自覚する必要があるのだと感じました。

 

 ちなみに、二条の冒頭にチラッと書いてありますが、公認心理師は、第二八条で規定されるように、登録しないと名称使用できません。試験には出にくいと思いますが、実務上は重要なので覚えておきましょう。

 

第三条:欠格事由

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条文 

次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

一 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

 



【第三条のポイント】
 第三条は、公認心理師となることができない人の条件を定めているわけですが、基本的には、当たり前のことが書かれていると考えてよいと思います。 一つ目で挙げられている、文部科学省令・厚生労働省令はこちらで確認できます。(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80ab6108&dataT) もともとは、成年被後見人などと具体的に規定されていましたが、その後以下の通り改められました。
第三条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により公認心理師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。
 要支援者の支援をする者に、正常な判断や意思疎通ができないなら、要支援者の支援は難しいと考えられるため、これは当然かなと思います。 二つ目は、禁錮以上の刑に処せられた人が、執行を受けることがなくなった日から2年以内はダメということですね。ちなみに、調べたところ、禁錮刑以上というのは、禁錮刑と懲役刑と死刑らしいです。要するに、刑務所に入れられた人くらいに考えても良いのかなと思います。
 公認心理師は、後に触れますが、公認心理師法で信用失墜行為を禁じられています。
 問題はこの2年という基準です。資格によって刑の執行を終えてから必要となる年数は違うようです。公認心理師が2年になった理屈を知ろうと思ったのですが、調べても分かりませんでした。
 とりあえず、意思疎通は問題ないのに資格取れない場合は、とにかく2年必要と覚えましょう
 
 2年といえば、どれくらいでしょうか。ドリカムの未来予想図Ⅱが「卒業してからもう3度目の春」で始まりますので、それよりは若干短い感じでしょうか。
 それよりも、携帯電話の契約を更新するかどうかのタイミングと覚えても良いかもしれませんね。携帯電話の契約は結構長いですからね。「あぁ携帯電話会社乗り換えたいけど次の契約更新のタイミングを待たないと解約料取られるから待たないとな」と思いながら待つんですけど、案外長いんですよね。それで、結局その次に更新したすぐあとくらいに乗り換えて「あぁこんなことなら早めに乗り換えておけばよかったよ」と考えるみたいな。
 そう考えると2年間資格取れないのは結構でかいですね。2年の理由はわかりませんが、2年でも良いのかもしれませんね。

【公認心理師試験必出】絶対覚えたい公認心理師法は背景、流れから覚える

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初回のテーマは公認心理師です。

公認心理師試験では、当然公認心理師法の内容が出ます。当然のような顔で出ます。

この間、小学生が同級生に「俺は非課税」と当たり前なことを言っている光景を見ました。なぜそんな会話になったのか分かりませんが、それくらい当然な感じで出ます。

しかし、心理の勉強ならまだしも、法律を覚えるのは結構苦戦します。

 

私は、まず公認心理師法の全体的な流れを理解することから始めました。流れが分かると自然と理解できるものです。

いきなり迷路に入って右、左の順番を覚えるよりも、まずゴールがどっちにあるかを覚えた上で、迷路に入る方がゴールしやいですよね。

皆さんもぜひ流れをイメージしながら記憶してみてください。

 

法律の詳細はリンクを貼っておきます。興味のある方はご覧ください。

www.mhlw.go.jp

 

 

公認心理師法成立の背景

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Steve BuissinneによるPixabayからの画像 

平成27(2015)年9月9日、公認心理師が成立、9月16日に公布されました。

 

多くの場合、企業活動などに与える影響を最小限にするため、国民に知らせる公布から、実際に効力を持つ施行まで時間がかかります。公認心理師法も、公布から施行まで2年かかり、2017年に施行されました。

 

2015年の日本は、渋谷区が同性カップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行することを決めるなど、世間がダイバーシティの重要性を認め始めた頃と言えます。

当時、私は精神科で勤務していましたが、肌感覚で精神疾患に対する世間の考えが変化しつつあるかなと感じていた頃です。

 

このような時代にあって、公認心理師という国が認めた心理職が創設されたのも自然な流れだったのだろうと思います。

とはいえ、言い換えれば、それだけ国民から求められている役割、責任が重いと考えるべきなのでしょうね。

 

では、公認心理師法の中身、第一条~第五十条までをざっくり見ていきましょう。

 

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Free-PhotosによるPixabayからの画像

公認心理師法の流れ

 (※以下の大臣と国民の会話は管理人Jayの妄想です)

 

第一条:目的

 文部科学大臣「第一声は厚生労働大臣が」

 厚生労働大臣文部科学大臣こそ」

 文部科学大臣「え、では、ありがたく」

 国民「なにごちゃごちゃやってんだ、早くしろ!(卵を投げる国民)」

 大臣「皆さん、これから国民の心の健康を保持増進するため、公認心理師という資格を作ることになりました。これから公認心理師法の説明をします」

 国民「おーいみんな、なんか新しい国家資格できるんだってよ!おい大臣!そりゃ一体何をする資格なんだ」

 

第二条:公認心理師の定義(業務内容)

 大臣「公認心理師は、主に4つの業務を通して国民の心をサポートします。アセスメント、カウンセリング、関係者の支援、心理教育や情報提供です」

 国民「アセスメントって響きカッコイイ!なっていいですか?」

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第三条:欠格事由

 大臣  「あ、でも受けられない人もいますんで、そこはよろしくお願いします。」

 国民Af:id:PSYCHOBANK:20211109153734p:plain「あのぉ、大臣・・・俺、服役中だけど試験受けられますか」

 大臣  「あなたは禁錮の最中ですので、刑が明けても2年間は受けられません。それよりも刑務官の指示に従ってください

 国民Bf:id:PSYCHOBANK:20211109153951p:plain「よっしゃ!俺、勤務先の美容外科に芸能人が来たことツイートして昨日解雇されたけど、法的には罰金刑しか受けていないから受けられますよね大臣!俺、受けます!!」

 大臣  「保健医療、福祉、教育分野での法律違反は罰金刑でも2年間受けられません。それになんかあなたは倫理観がヤバそうなので考え直してください。あと、これはあくまでも受けられない人の条件であって、受けられる人の条件もあります。今から説明していきます。」

 

第四条~第三十一条:公認心理師試験や登録について

 大臣「では、受けられる人の条件や試験の詳しい内容を説明します。えー、まず試験はですね・・・」

 国民「やばい、眠い説明が始まっ・・・zzz」

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第三十二条:資格取り消し

 大臣「(こいつら寝始めたな。しばらく選挙ないしビビらしとくか)えー、資格取り消しの条件を伝えます」

 

 国民 「ハッ!!こわ、寝てたわぁ、 f:id:PSYCHOBANK:20211109124736p:plain あれ今資格取り消しって言ってた?・・・」

 大臣 「取り消しになるのは、第三条の欠格事由に該当する場合と、嘘ついて資格を取った人は資格取り消しです。あと、四十条~四十二条に違反した人も取り消しです」

 国民 「え、四十条とか、まだ、出てきてないじゃん・・・説明してほしいなぁ」

 大臣 「それでは、資格の登録や取り消し手続きについて説明します。」

 国民 「え・・・」

 

第三十三条~三十九条:資格登録や取り消し手続き

第四十条~第四十二条:公認心理師の業務上の義務

 大臣「先ほどは、なんかチラッとしか説明しなくてすみませんでした。信用失墜行為、秘密保持義務、主治医の指示、この三つに違反すると資格取り消しになります。あと、秘密保持義務違反は、特に厳しい罰則があります。」

 国民「信用失墜行為って何ですか」

 大臣「公認心理師の信用を失墜する行為です」

 国民「なので、その信用を失墜する行為って」

 大臣「公認心理師の信用を失墜する行為です」

 国民「んだよ、急にBOTかよ・・・」

 大臣「ちなみに秘密保持義務違反は資格取り消しだけじゃなくて罰則ありますんで」
 国民「罰則・・・一体どんな罰則なんでしょうか。お願いします!教えてください!」

 大臣「五条あとの第四十六条で説明します」

 国民「・・・いや今言ってくれよf:id:PSYCHOBANK:20211109152827p:plain



第四十三条:資質向上の義務

 大臣「あと、別に罰則はありませんが、公認心理師として努力を怠らないようにしてください。資格を持っている限り一生勉強してください。最新のデータを理解していないとか、資格取った後に学会、勉強会や研修会に参加しないとかそういうのはやめてください。学会誌が届いているけど家で積んでるだけとか、メルカリで売ってるとか論外です。」

 国民「え、急に厳しい」

 

第四十四条:名称独占

 国民「なんかめんどくさいから勝手に公認心理師って名乗ろう」

 大臣「ダメです。勝手に名乗ったらマジで罰金くらわしますよ」

 国民「ば、罰金・・・一体いくらですか?」

 大臣「五条あとで説明します」

 国民「え、また?なんで・・・」 

 

8.第四十六条:秘密保持義務違反の罰則

 大臣「一年以下の懲役か三十万の罰金です」

 国民「説明みじか」

 

9.第四十九条:名称独占に違反した場合の罰則

 大臣「三十万の罰金です」

 国民「あれ、説明めんどくさくなってます?」

 大臣「次の五十条で最後になりますが、運営側に関する法律なので、皆さんへの説明はここまでにしておきます」

 

まとめ

ざっとですが、公認心理師法の大枠をつかんでいただけたでしょうか。

公認心理師試験において特に大事なのは、1~3条、40~42条です。

 

次の記事では、試験に出る部分を詳しく見ていきたいと思います。